2020年から施行される「同一労働同一賃金」とは?

最終更新日 2024年10月7日

1.同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事をしている場合には正規雇用であっても非正規雇用であっても同一の賃金が支払われるという考え方になります。
労働法においては以前からこのようなルールはありましたが、実際にどの企業でも運用されているとはいえない現状がありました。

2020年の4月から働き方改革関連法案の改正法が施行されることで、徹底化が図られることになったのです。
正社員とほぼ変わらない仕事をしながら、自分だけが安い賃金しかもらえないと不満を持っているパートやアルバイトの人も多いのではないでしょうか。

様々な事情によって一度非正規雇用になってしまうと、なかなか正規雇用で働けないという問題もあります。
例えば、配偶者の転勤などで引越しをしたものの、引っ越し先では正社員の求人に応募しても採用されないといったことが起こります。

親の介護をきっかけに離職し、再び正社員として働こうと思っても働き口がないといったこともあります。
特に年齢が上がれば上がるほど正社員で雇用されることは難しくなるというのが現状です。

長い期間パートやアルバイトなど非正規雇用で働くことを続けているうちに、いつの間にか貧困状態に陥っていることも少なくありません。

それから日本では、正規雇用の労働者と非正規雇用の労働者の待遇差が大きいことが問題となっています。
以前は正規雇用の終身雇用が当たり前でしたが、規制緩和が進んだことで非正規雇用者が大きな割合を占めるようになっています。

働く人のうち、派遣社員・パート・アルバイトなどの非正規雇用者は4割いるとされます。
収入の少ない非正規雇用者は非婚率が高く、少子高齢化の要因になっているとも言われています。
また、シングルマザーの貧困なども問題になっており、子供の貧困にもつながることが懸念されます。

2.非正規雇用者の賃金は正規雇用者の6割程度

そういった格差を是正しようというのが同一労働同一賃金の考え方になります。
日本では非正規雇用者の賃金は正規雇用者の6割程度にとどまっており、低賃金で働かざるを得ない人が数多くいます。

ヨーロッパなどの先進国では、非正規雇用者の賃金は正規雇用者の8割ほどとされています。
日本では正規雇用者と非正規雇用者の格差が大きく、一度正規雇用の仕事を辞めてしまうと同じ水準のその水準まで高めていくことが目標になります。

「同一労働同一賃金」を含む働き方改革関連法案は、大企業では2020年の4月から正式に導入されることになっています。
中小企業の場合にも2021年の4月から導入されることが決定しました。

働き方改革関連法案の整備に伴って、2016年には厚生労働省からガイドラインも公表されています。
同一労働同一賃金は単純な給与だけではなく、賞与や福利厚生なども対象となります。

例えば正規雇用者にはボーナスが支給されるのに、非正規雇用者にはボーナスが全く支給されないということは許されません。
休憩室や食堂などの使用も福利厚生に該当するので、差をつけることは許されなくなります。

3.まとめ

同一労働同一賃金を含む働き方改革関連法案は、非正規雇用で働く労働者にとってはとても意味のある法律といえるでしょう。
しかし、企業側にとっては負担の増加が見込まれるので、きちんと法律に則って運用されるかは未知数なところもあります。

企業としては人件費を抑えるために非正規雇用の割合を高めてきたところもあるので、賃金を大幅にアップしなければいけないとなると経営が悪化することもあるでしょう。

特に中小企業などでは、法律について詳しい知識を持っていないこともあります。
また、会社によっては賃金体系が複雑で、根本的な賃金体系そのものを見直さなければいけないこともあります。